旧道

谷元益男



ここから少しにぎやかな その地まで いつも 国道を走っていく 車が混み合い 時間がかかるので 別の道を捜そうか 車は家族をのせて狭い道を 走り出した 当たり前だけど 道はどこかと必ず繋っているよ 生まれは南の端だが そことも切れずに何かが 流れている 乗り物だけでなく―― あどけない幼心が出発した あの土地から 体の中を走ることを おもっている いろんな道を捜して 新道だと 思って 徐々に頭部にのぼってくる 幼心を 見失ったとき 道は死ぬんだね ――背後で幼い子の声がする

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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