一晩じゅう きみが出てくるのを待っていた
普段はそんな気分にはなれないものだが
その日は
付き合い始めたばかりの恋人のように
優しい気分になれた
(2人でアイスクリームなんかなめちゃってさ)
ほかにすることもないので
話をしていたけれど
そのうち話すこともなくなった
波がやってくると
2人の呼吸を合わせた
静かなときには
彼女の寝顔を見ていた
夜の海をずっと見ていたのは初めてだ
波はしだいに高くなり
激しくなった
でもきみはまだ来ない
ずっと待っていた
いつまでも待っているんじゃないかと思った
東の空が明るくなり始めたときに
やっときみは出てきた
出てきてみれば意外にあっけなかった
きみは一瞬ためらったあと小さく泣いた
きみと同じように出てきた子の泣き声が
遠くから聞こえてきた
きみのお母さんは
しばらくベッドから立ち上がれない身体になったけれど
笑った顔がかわいかったよ
Booby Trap No. 14
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