前の月のページ 10月1日（水）　夜学果て口紅颯とひきにけり 10月2日（木）　夜霧とも木犀の香の行方とも 10月3日（金）　無花果を煮るふだん着の夕べかな 10月4日（土）　遼陽に夜も更けたる声ひとつ 10月5日（日）　足場から見えたる菊と煙かな 10月6日（月）　栗ひらふひとの声ある草かくれ 10月7日（火）　針千本飲ます算段赤のまま 10月8日（水）　裏山に椎拾ふにも病女飾る 10月9日（木）　地図に見る明日行くところ萩の卍 10月10日（金）　木守柿妻の名二人ある系図 10月11日（土）　末枯れや目上と云うも姉ひとり 10月12日（日）　をりとりてはらりとおもきすすきかな 10月13日（月）　幾何眠く少女が使ふぶんまわし 10月14日（火）　新米を燈下に検すたなごゝろ 10月15日（水）　渋柿やボクよりオレで押し通す 10月16日（木）　白粉花の風のおちつく縄電車 10月17日（金）　もう逢わぬ距りは花野にも似て 10月18日（土）　野菊また国家の匂い千々に咲く 10月19日（日）　りんご箱りんごの隙の紅い闇 10月20日（月）　山桜もみぢのときも一樹にて 10月21日（火）　舌噛むなど夜食はつねにかなしくて 10月22日（水）　鬣に残る朝露ライオンショー 10月23日（木）　松手入梯子の先に人探す 10月24日（金）　次世代の飢餓など知らん濁り酒 10月25日（土）　帰ろかな帰りたいのだ神無月 10月26日（日）　秋入日かちかち山に差しにけり 10月27日（月）　鶉飛ぶ広い世界を見るでなく 10月28日（火）　枇杷男忌や色もて余しゐる桃も 10月29日（水）　斬られ役また出て秋を惜しみけり 10月30日（木）　秋の夜の漫才消えて拍手消ゆ 10月31日（金）　露霜の紅さして母残りけり この月のすべての句 次の月のページ 『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます。