はっぴぃ?



ナオキの誕生日にケーキを買ったので、 同じ幼稚園に通っている いとこのアヤカネくんも遊びにきた。 さあそれではケーキの前で写真を撮ろう、 というときに、 突然 アヤカネくんがそっぽを向いて泣き出した。 アヤカネくんの名誉のために言っておくと、 彼は決して泣き虫なんかじゃないのである。 どうしたのだろう。 泣き声で聞き取れないので、 何度も聞き返した。 だってつまらないものって言うんだもん。 アヤカネくんのお母さんが、 ナオキの誕生日プレゼントに、 アヤカネくんとおそろいで TVに出てくるロボットを買ってくれたので、 ありがとうございましたとお礼を言ったときの、 アヤカネくんのお母さんの返事である。 大人たちはあわてて、 あれは大人のあいさつというもので、 本当につまらないと言っているわけじゃない、 とか、 ナオキがあんなに喜んでいるものが、 つまらないわけがないじゃないか、 などと言い訳をしたのだが、 アヤカネくんは決して大人たちを許してくれなかった。


(C) Copyright, 1998 NAGAO, Takahiro
|ホームページ||詩|
|目次||前頁(危険)||次頁(人から聞いた話)|
PDFPDF版