どこか南の国で 戦争があって 多くの人が 死んだらしい ぼくがそれを 知らずにいたので その国から帰ってきた ぼくの友人があきれた この国でも昔は 戦争があったのだ 戦場になった村を 彼が訪れた時 死にかけた子供が おとうちゃん と彼に呼びかけたそうだ その子が 日本においてきた筈の 彼自身の息子に相違なかった と彼は主張していた その彼は 帰国後まもなく 東京の病院で死んだ 彼の息子は 父が南の国の戦争で 死んだものと 思っている