窓の向こうの桜がきれいだ
夕方
白い桜
ふくらんでいる
大きい
いっぱい
1500の桜がふるえて
こちらを向いている
行列
まっすぐ歩けない
大通りは人間たちであふれあふれ
大声でしゃべりながら
人間たちは
靴で
視線で
身体をすれ合わせながら
桜の木の下を通りすぎる
叫びながら男の子が走り
髪を人形のように切っている女の子が
紙を落とし
(パンフレットのようなもの)
メガネをかけた中年の女が立ち止まっている(腕を組みながら)
町はさわがしい
行列の速度が
12度の気温が
混ざりあって
ぼくはウトウトと眠りそうだ
コーヒーショップ・ドトールで
21人の人間は
高い声で
今日のことを話している
注文したコーヒーと
天気
ケーキと
赤い服
あと七日の
入学式
そんなことを
いつまでも
話している
ぼくはこれから
東の方の二丁目の陸橋に行く
この橋は
映画で
ぼくの好きな女優が
自転車に乗って
渡った
彼女はただ
ゆっくりと
ペダルを漕いだのだ
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