さあ、ごはんですよ
最近、みみずが道路に出てきて干からびているのを
よく見かけます。
地面の下に住んでいるはずのものが
なんでわざわざ道路まで出てきて死んでいるのかわかりませんが、
天然の蛋白質が、
食べてくださいと言わんばかりに転がっているのですから、
いただかない理由はありません。
簡単に洗っていただきましょう。
間違っても中性洗剤などを使わないように。
汚れていたとしても、
どうせ犬が踏んづけたとか
おしっこを引っかけたくらいなものです。
充分に日光消毒されていますので、
水洗いで充分です。
なに、いやだ?
それでは、ごきぶりのフライはいかがでしょう。
ごきぶりには天然のコラーゲンがたっぷり入っています。
あなたの薄くなりはじめた頭も、
ごきぶりのように黒々と蘇えることは間違いありません。
フライパンに油をひいて、
ごきぶりの好物の食べ物を入れて
ごきぶりが飛んでくるのを待ちましょう。
ごきぶりの餌には注意しなければなりません。
硼酸だんごのようなものはだめです。
ごきぶりが食べたものは、
ごきぶりを食べるあなたも食べるのですから。
ごきぶりがフライパンのなかに飛び込んだら、
さっと蓋を被せてしっかり炒めます。
よく炒めないといけません。
わたしの知り合いで、
炒め方の足りないごきぶりを食べて、
ごきぶりに腹を食い破られた人がいます。
なに、そんなリスクがあるものはいやだ?
それでは、今度はもっと上等なものにしましょう。
ごきぶりやみみずのような下等動物とは違って
鳩は背骨がある高等な生き物です。
高等な人間様にふさわしい食べ物と言えましょう。
調理方法は簡単。
近寄ってきた鳩を蹴飛ばし、
地面に叩き付けられたところでぱっと捕まえれば、
あとは羽をむしって丸焼きにするだけです。
最近の鳩は図々しくなって、
人間様がそばにいても逃げようともしません。
人間様は怖いんだということを教育してやる必要があります。
この料理は、人間様の腹がくちくなるばかりでなく、
鳩に対する教育効果もある一石二鳥の料理です。
鳩にも感謝してもらわなければなりません。
なに、これもいやだ?
それじゃあ、あなたは何だったら食べるというのですか?
(C) Copyright, 2000 NAGAO, Takahiro
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