Twitterによるニュースピーク入門



〈安倍晋三
@AbeShinzo
唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向け、非核三原則を堅持しつつ、被爆の悲惨な実相への理解を促進してまいります。核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し、国際社会の取組を主導していく決意です。

午後3:20 ・ 2019年8月9日・Twitter for iPhone
1,886件のリツイート
1.1万件のいいね〉
(引用者注: リツイート、いいねの件数は、同年同月10日午後3時30分現在のものです)

 安倍晋三氏のニュースピーク、または特殊詐欺話法について、私などがしゃしゃり出てきて解説とは片腹痛いのですが、書いてみたら意外とうまくできたような気がするので、臆面もなくご紹介させていただきます。

唯一の戦争被爆国として→ここはもともとの日本語と同じ意味になっています。ニュースピークではないように見せかけて、聞いている者の油断を招こうという意図が見え隠れしています。

「核兵器のない世界」の実現に向け→「」をつけてある分、本気じゃないってことをほかの部分よりも正直に述べています。

非核三原則を堅持しつつ→ザルであることは公然の秘密です。中身のわからない米軍基地を抱えているくせにどうやって「持ち込ませない」とか言えるんだか理解に苦しむところです。

被爆の悲惨な実相への理解を促進してまいります→安倍政権ってそのためになんかやりましたっけ。そもそも原発を推進してきて福島第一原発事故の遠因を作った安倍晋三は被ばくの悲惨な実相を知っているのでしょうか。

核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め→核兵器禁止条約には決して賛成しません、という意味です。ここがこのツイートのもっとも重要な部分ですが、意味を知っている人と知らない人がいます。意味を知らない人はニュースピークの存在を知りません。Rest in peace.

双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し→どちらの協力も得られないことがわかっていて言っています。「粘り強く」はニュースピークの頻出語で、公式発言の場でやってる感を出すために使われますが、全然本気ではないという意味です。わかりやすく言えば、「後ろを向いて舌をぺろっ」ということです。

国際社会の取組を主導していく→ここには、真実はありませんが、願望はちょっとだけあります。何であれ、「国際社会の取組を主導していく」自分の姿を見てみたいと思っていますが、できていないことはわかっています。でも、国民に対してはそう言っておこうという言葉です。

決意です→和歌などで、語調を整えるために、意味はないけど先にくっつける枕詞というものがあります。たとえば、「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」における「久方の」は「光」の枕詞で特に意味はなく、「光」という言葉を予感させることだけが目的になっています。「決意です」は、すべての文章の末尾に着く万能の枕詞状のもので、意味はありませんが、何か言った気にさせるためのおまじないです。しかし、前ではなく、一番最後で使われるので、枕詞ではなく、足拭き詞(あしふきことば)、またはケツ拭き詞と呼ぶべきものです。

以上です。ご質問のある方は別室へどうぞ。


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