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 このプログラムは、PCK GUIフロントエンドの出力を表示するためのプログラムの一種です。ver.2.2.0.0で初めて追加されました。エディタではなく、ブラウザなので、表示されているテキストの編集はできません。しかし、画面に表示されている1つのウィンドウを繰り返し使えますので、無駄なウィンドウが大量にオープンされて困るということがなくなります。また、このプログラム自身、一種のPCK GUIフロントエンドとしてコマンド行を実行するために使うことができます。

 

概要

 PCKは、もともと、コマンド行プログラムの出力を任意のテキストエディタで表示できるようにすることを意図して作られており、「テキストエディタ」を作る予定はありませんでした。しかし、通常のテキストエディタで出力を表示していると困ることがあります。たとえば、コマンド行を1回実行すると、通常はテキストエディタウィンドウが1つずつオープンされます。当然、何度もコマンド行を実行すれば、無数のウィンドウがオープンされ、画面は乱雑になります。どのコマンドを先に実行したのかもわからなくなってきます(GUIフロントエンドの「設定」ダイアログの「出力の末尾にコマンド行とカレントディレクトリを付加」チェックボックスは、この問題に対処するために付け加えられたものですが、それでも通常のコマンドプロンプトと比べて、コマンド実行の前後関係はわかりやすくありません)。

 そこで、新しいデータを与えても、いちいち新しくウィンドウをオープンせず、既存のウィンドウを使い回すブラウザがあれば、便利なのではないかと思い、このを作りました。

 は、ただ新しいウィンドウをオープンしないというだけでなく、新しいデータを古いデータと同じウィンドウに表示することもできます。つまり、古いデータが表示されている場所の後ろに新しいデータを追加していくということです。また、通常のテキストエディタは、新しいデータを開く時には、当然のようにそのデータの先頭を表示しますが、はデータの末尾を表示することができます。また、この機会に、GUIフロントエンドの出力の先頭にMS-DOS/コマンドプロンプト風の>とコマンド行を挿入するオプションをspawn.exeと各GUIフロントエンドに追加しましたので、の出力はかなりMS-DOS/コマンドプロンプトに似たものになりました。もっとも、は編集機能を持っていませんので、出力をすぐに編集したい場合には、従来通り、通常のテキストエディタを使っていただくようになります(後述のように、[v]キーを押すだけでシステムのデフォルトテキストエディタを起動できます)。また、Unicodeファイルには対応していません。

データの与え方

 で表示されるテキストデータは、様々な方法で指定できます。「ファイル」「開く」コマンドや起動時のコマンド行パラメータが使えるのはもちろん、エクスプローラからのファイルのドラッグアンドドロップ、ワードパッドやワードからのテキストのドラッグアンドドロップ、エクスプローラでコピーしたファイルの貼り付け、クリップボードにセットされているテキストデータの貼り付けといった方法があります。ちなみに、PCK GUIフロントエンドから起動したコマンド行プログラムの出力が表示されるのは、コマンド行パラメータとして出力を格納した一時テキストファイルが指定されているからです。

ファイルメニュー

 前項と重複しますが、「ファイル」メニューの内容は、通常のエディタとほぼ同じです。ただし、「新規作成」コマンドに代わる「画面クリア」コマンドは、単純に画面をクリアするだけです。表示されている内容は、「名前を付けて保存」コマンドでファイル名を指定して保存することができます。で表示しているファイルに別のプログラムで編集をかけても、そのままではの表示は更新されませんが、「更新」コマンドを選択すると、新しいファイルの内容が読み込まれます。このコマンドは、[Ctrl]+[L][Ctrl]+[R]キーでも実行できます。印刷関係のコマンドは、開発ツールが提供している機能をそのまま利用しているだけですが、うまく機能するようです。

編集メニュー

クリップボード関係では、「切り取り」コマンドはありません。「コピー」コマンドは、選択された部分をクリップボードに送ります。「実行」コマンドは、選択された文字列をコマンド行として実行します。「貼り付け」コマンドは、先ほども説明したように、クリップボードにテキストデータかファイルがセットされている時に動作します。テキストデータがセットされている時には、そのデータがそのまま表示されます。ファイルがセットされている時には、ファイルの内容が表示されます。

 「検索」コマンドを選択すると、コモンダイアログの「検索」が表示されます。これも、印刷コマンドと同様、開発ツールの出来合いのサービスです。「単語単位で探す」をチェックすると、たとえば、英文からinという単語を探したい時に、findgoingが拾われてしまうのを防ぐことができるようです。「大文字と小文字を区別する」をチェックすると、inを探そうとしてINInが見付かってしまうのを防ぐことができるようです。上から下の方向にしか検索できません。最後まで検索すると、また先頭から検索し直すようです。

 なお、検索機能としては、他に後述の[/][?][n][N]キーによる簡易正規表現検索があります。

 はブラウザですから編集機能を持ちませんが、「内容編集」コマンドを選択すれば、編集機能を持つエディタを使って、表示されている内容を編集できます。エディタの起動には、「設定」ダイアログの「内容編集」で指定されたコマンド行が使われます。コマンド行オプションで起動時の表示行を指定できるエディタを使っている場合には、行番号として%iを指定したコマンド行を使うと(エディタ起動時には%iの代わりに実際の行番号が指定されます)、に表示されている位置をすぐに編集できます。たとえば、秀丸の場合ならC:\program files\hidemaru\hidemaru.exe /j%というコマンド行を用意しておけば、秀丸起動時にに表示されている位置がすぐに表示されます。

 この時に編集されるファイルは、「設定」ダイアログの「表示内容」が「追加」になっている場合には、が作った一時ファイルです。「置換」になっている場合には、タイトルバーにも表示されているファイルそのものを編集できます。「内容編集」コマンドは、[v]キーでも起動できます。

 ファイルを編集して保存しても、の表示がすぐに更新されるわけではありません。手動で更新作業をする必要があります。上記「ファイル」メニューの「更新」はそのためのコマンドです。

 「改行追加」コマンドは、表示内容の末尾に改行コードを追加します。「設定」ダイアログの「表示内容」が「追加」になっているときしか使えません。[M]キーでも同じことができます。

表示メニュー

 このメニューでは、チェックされているコマンドを選択するとチェックが外れ、チェックされていないコマンドを選択するとチェックが付きます。「ツールバー」、「ステータスバー」コマンドがチェックされているときにはツールバー、ステータスバーが表示されます。ツールバーには、「ファイル」メニューの「新規作成」「開く」、「名前を付けて保存」、「印刷」、「編集」メニューの「コピー」、「貼り付け」、「ヘルプ」メニューの「sbのバージョン情報」コマンドと同じ意味を持つボタンが含まれています。「一番上へ」コマンドがチェックされているときには、他のプログラムを操作しているときでも、が画面の最も手前に表示されます。

ヘルプメニュー

 「ヘルプ」コマンドを選択するとこのヘルプテキスト、「sbのバージョン情報」コマンドを選択するとバージョン情報が書かれたAboutボックスが表示されます。

コンテキストメニュー

 のクライアント領域でマウスを右クリックすると、次のようなメニューが表示されます。

 

 

 「画面クリア」から「印刷設定」までは「ファイル」メニュー、「コピー」から「改行追加」までは「編集」メニュー、「フォント」から「設定」までは「表示」メニュー、「ヘルプ」は「ヘルプ」メニューの同名コマンドと同じように機能します。

設定

 「表示」メニューの「設定」コマンドを選択すると、次のような「設定」ダイアログがオープンされます。

 

 

 このダイアログでは、主としての表示に影響を与えるオプションを指定できます。

 

位置・サイズ 次回起動した時のウィンドウの位置とサイズを指定します。上下左右の字の右側の数字は、現在のウィンドウの座標を示しています。「Windowsに任せる」にすると、画面のかなりの部分を使って画面と同じ縦横比のウィンドウがオープンされます。「左の値を使う」にすると、左側のエディットボックスが有効になり、特定のサイズを指定することができます。この場合、「OK」ボタンを押してダイアログをクローズすると、指定されたサイズでウィンドウを表示し直します(ただし、指定された座標では高さや幅が200ピクセル以下になってしまう場合には、最低限200ピクセルになるように調整します)。「前回終了時の位置を使う」にすると、前に実行した時にウィンドウをクローズした位置にウィンドウが表示されます。pipeline)、cmdline)、boardboardu)、touch)と同様の動作です。

フォント 同じ「表示」メニューの「フォント」コマンドと同様です。変更したい時には、右側の「選択」ボタンを押します。

表示開始位置 新しいファイル(データ)を与えた時に、そのファイルの先頭を表示するか、末尾を表示するかを指定できます。「表示内容」が「追加」になっている場合、「新ファイルの先頭」を選択すると、新しいファイルを追加する直前までの末尾、新しいファイルの先頭付近が表示されます。

表示内容 追加」にすると、それまでの表示内容を消さずに、その後ろに新しいファイル(データ)の表示を追加していきます。「置換」にすると、新しいファイルを与えるたびにウィンドウの内容が置き換えられます。

終了確認をする クローズボックスのクリックなどによってを終了しようとした時、PCKのほかのプログラムなら本当に終了してもよいかどうかを尋ねるダイアログボックスが必ずオープンされますが、の場合、このチェックボックスをチェックしなければ、何も尋ねずに終了します。

検索 検索時の動作を指定します。「大小文字無視」をチェックすると、検索パターンの大文字と小文字の違いを無視します。「IME自動オープン」をチェックすると、検索パターン入力ウィンドウを表示したときに、自動的にIMEをオープンします。

行の折り返し 長い行を表示する時に、ウィンドウの端で折り返すか(「ウィンドウの端で折り返す」)、折り返さずに1行はあくまでも1行で表示するか(「折り返さない」)を指定します。

子プロセス起動 後述の方法でコマンドを起動する時の環境を指定します。「クリップボードの内容を標準入力として使う」と「標準出力をクリップボードにセットする」は、PCKフロントエンドでは、メインウィンドウの上の方と下の方に含まれているチェックボックスと同じ機能で、オプション名の通りのリダイレクトをします。「出力の先頭にコマンド行とプロンプトを付加」は、出力の先頭に、たとえば次のような1行を追加します。

 

C:\program files\longtail\cmdline> dir

 

PCK ver.2.2.0.0以降のGUIフロントエンドの「設定」ダイアログにも、同様のオプションが追加されています。これを指定すると、の表示が、まるでMS-DOS/コマンドプロンプトのようになります。次の「出力の末尾にコマンド行などを付加」は、PCK GUIフロントエンドの「設定」ダイアログに当初から含まれていたオプションで、出力の末尾に次のような1行を追加します。

 

cat  (in C:\)

From Tue, 14 Aug 2001 15:27:30 +0900(東京 (標準時))

To   Tue, 14 Aug 2001 15:27:30 +0900(東京 (標準時))

119 bytes

 

最後の「エディタに標準出力を送らない」も、GUIフロントエンドの「設定」ダイアログに含まれているのと同様のオプションで、コマンドを実行しても、出力を表示しません。「子プロセス出力」は、PCK GUIフロントエンドの「設定」ダイアログの上部のリスト、ボタンと同じで、コマンド行プログラムを実行した時に出力を送るエディタを選択します。「エディタリスト」ボタンを押すと、エディタリストの内容を編集できます。ここでsb.exe自身を選べば(そして、設定名も揃えれば)、で実行したプログラムの出力を同じで見ることができます。

内容編集 子プロセス出力」の下の「内容編集」コンボボックスにも「子プロセス出力」と同様のエディタコマンド行の一部が表示されますが、これは、「編集」メニューの「内容編集」コマンドを選択した時に使われるものです。コマンド行オプションで起動時の表示行を指定できるエディタを使っている場合には、行番号として%iを指定したコマンド行を使うと(エディタ起動時には%iの代わりに実際の行番号が指定されます)、に表示されている位置をすぐに編集できます。たとえば、秀丸の場合ならC:\program files\hidemaru\hidemaru.exe /j%というコマンド行を用意しておけば、秀丸起動時にに表示されている位置がすぐに表示されます。

 

 「設定」ダイアログで変更した設定は、を次に起動する時にも有効です。しかし、それだけではなく、これらの設定は名前を付けて保存できるようにもなっています。「設定」ダイアログの左側のリストボックスに含まれている名前がそれです(この画面の場合4個定義されています)。名前をダブルクリックすると、ダイアログの内容は、その名前の設定に合わせて変化します。そして、「保存」ボタンを押すと、「名前」の下のエディットボックスに書かれた名前のものとして、その時の「設定」ダイアログの内容が保存されます。つまり、「名前」の下のエディットボックスは、新しい設定名を作るために使うことができます。

 設定名は、コマンド行オプションとして指定できます。たとえば、/addを指定した場合、addという設定名で保存されているオプションが使われます。もっとも、pptddeautomationembeddingという設定名は使えません。設定名が指定されていない場合には、設定名としてdefaultが使われます。

 設定名には、重要な機能が1つあります。このヘルプの最初の方で、のウィンドウは1つしか表示されないと説明しましたが、正確に言うと、のウィンドウは設定名ごとに1ずつしか表示されないのです。逆に言えば、のウィンドウは、設定名の数だけ開くことができます。ですから、用途に合わせていくつかの設定を用意し、PCKGUIフロントエンドやの子プロセス出力用エディタとしてそれらを登録しておけば、出力先を適切にコントロールできるわけです。

 そのウィンドウの設定名は、「設定」ダイアログをオープンした時に「名前」の下のエディットボックスに表示されます。実行中に設定名をダイナミックに変えることはできません。「設定」ダイアログボックスでできるのは、ほかの設定名の設定内容を保存することだけです。しかも、その時にその設定名のウィンドウがオープンされていたとしても、そのウィンドウに変更点は反映されません。先ほども触れたように、設定はウィンドウがクローズされる時に自動保存されますので、このようなことをしてもあまり意味はありません。

 設定名が多くなり過ぎたときには、整理することができます。エディットボックスの上の「削除」ボタンを押すと、「名前」の下のエディットボックスの設定名が削除されます。削除された設定名を使っても問題は起きません(その設定名が新しく作られます)。

スクロール

 Windowsアプリケーションですから、マウスでスクロールバーを操作すればスクロールできます。また、キーボードの上下の矢印キーを押せば1行ずつ上下に、[PageUp][PageDown]キーを押せば1画面分ずつ上下に、[Ctrl]キーを押しながら[Home][End]キーを押せばファイルの先頭と末尾にスクロールできます。しかし、はその他にless風のキーボード操作によるスクロールもサポートしています。このless風スクロールは、カーソルが画面左上隅に固定されるという特徴を持っています。次のキーが認識されます。

 

[j][e][Ctrl]+[M][Enter]

1行下

[Ctrl]+[J]

1行下の行頭

[k][y][Ctrl]+[Y]

1行上

[Ctrl]+[K]

1行上の行頭

[d]

半画面下

[Ctrl]+[D]

半画面下の行頭

[u]

半画面上

[Ctrl]+[U]

半画面上の行頭

[f][Ctrl]+[V][Spacebar]

1画面下

[Ctrl]+[F]

1画面下の行頭

[b][Esc]+[V]

1画面上

[Ctrl]+[B]

1画面上の行頭

[h]

左小スクロール

[l]

右小スクロール

[H]

左大スクロール

[L]

右大スクロール

[.]

最後の操作を再実行

[,]

向きを逆にして最後の操作を再実行

[g][<]

先頭行の行頭。数字を指定した場合は、先頭からn行目。

[G][>]

末尾行の行頭。数字を指定した場合は、末尾からn行目。

[Ctrl]+[G]

末尾。

 

 「行頭」かどうかの違いが出るのは、「設定」ダイアログの「行の折り返し」で「折り返さない」を選択して、水平スクロールバーが表示されているときだけです。「行頭」のグループのコマンドを使うと、縦にスクロールした上で左端に水平スクロールしますが、そうでない方のコマンドなら、水平スクロールしません。

 再実行([.][,])、末尾ジャンプ([Ctrl]+[G])以外のコマンドには、先に数字を入力することができます。たとえば、[1][5][j]と入力すると、15行分下に下がります。その後で[j]キーを押すと、数字を入力した効果がなくなり、1行ずつ下がるように戻ってしまいますが、[.]キーを押せば、15行分下に下がる操作を繰り返すことができます。[,]キーを押せば、15行分上に上がります。

コマンド実行

 「設定」ダイアログの項でも簡単に触れましたが、からはコマンド行プログラムを実行できます。のアイコンが緑ではなく赤になっているのは、(pipe line)(command line)と同様に、様々なコマンド行プログラムを実行して、その出力をテキストエディタに表示できるからです。「設定」ダイアログで出力先として自身(設定名も同じもの)を指定すれば、コマンドを起動したウィンドウに出力が表示されます。

 コマンドを実行するには、[!]キーを押します。すると、のウィンドウと同じ幅で高さが文字1行分のダイアログがウィンドウ下部に表示されます。ダイアログの左端には、今入力したばかりの[!]が表示されます。このダイアログは、他のキーでも別の目的のためにオープンされますので、このようにして見分けられるようにしているのです。このダイアログが表示されている間は、のメインウィンドウは操作できません。また、このダイアログには、マウスでクリックできる「OK」、「キャンセル」ボタンはありませんので、キーボードの[Esc]キーを押すか(この場合は、キャンセル)、[Enter]キーを押さなければ消えません。たとえば、「dir」などのコマンドを入力し、[Enter]キーを押すと、コマンドが実行され、指定されたテキストエディタ(しつこいですけれども、自身にすることができます)に出力が表示されます。マウスでこのダイアログの矢印をクリックすると、過去に実行した20個以内のコマンドが表示されます。

 コマンドの実行環境は(command line)とほぼ同じです。cdchdirコマンドでカレントディレクトリを変更することができ、setコマンドで環境変数を設定することができます。環境変数は、%%で囲んで参照することができます。たとえば、「echo %path%」というコマンドを実行すると、環境変数PATHの内容が表示されます。また、パイプ、リダイレクト記号を使うことができ、NT系システムでは&&&||を使うことができますが、setcdchdirコマンドとこれらの記号を併用することはできません。ファイル名のみを入力すると、エクスプローラでファイルをダブルクリックした時と同じように、拡張子に対応付けられているアプリケーションが起動されます。

 コマンドの実行方法としては、画面に表示されている文字列を選択して、「編集」メニューの「実行」コマンドを選択する(または、右クリックメニューから「実行」コマンドを選択する.、あるいは[Ctrl]+[E] を押す)という方法もあります。この場合、画面上の選択済み文字列は[!]ダイアログに入力された文字列と同じように扱われます。

もう1つの検索コマンド

 先ほど説明したように、「編集」メニューには「検索」コマンドがあります。しかし、にはもう1つ別の系統の検索コマンドもあります。こちらの検索コマンドは、grep風の(しかしegrep風ではない)略式正規表現をサポートしています。正規表現検索を実行するには、[/]キーか[?]キーを押して検索パターンを指定します。これらのキーを押すと、コマンド実行の時と同様の1行分だけダイアログがウィンドウ下部に表示されます。もちろん、左端には[/][?]が表示されます。このウィンドウに検索パターンを入力して、[Enter]を押すと、パターンにマッチする場所を検索します(マッチした箇所が反転表示されます)。この時、[/]なら下に向かって、[?]なら逆に上に向かって検索します。検索パターンを指定した後、同じパターンを繰り返し検索したい場合には、[n][N]を押します。[n]は検索パターン指定時と同じ方向([/]なら下向き、[?]なら上向き)、[N]は逆方向([/]なら上向き、[?]なら下向き)に次のマッチを探します。検索対象は1行のみで、2行以上に跨るパターンを検索することはできません。特殊な意味を持つ文字(メタキャラクタ)は次の通りです。

 

.

任意の文字1つにマッチ。2バイト文字も1バイト文字も等しく1文字として計算します。

[...]

[]内で指定された文字のなかのどれか1つにマッチ。

[^...]

[]内で指定されていない文字1つにマッチ。

[:alpha:]

英字1つ(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:alnum:]

英数字1つ(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:blank:]

タブかスペース(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:cntrl:]

制御文字1つ(1バイト文字のみ)にマッチ。

[:digit:]

数字1つ(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:graph:]

タブ、スペース以外の英数字記号(1バイト文字のみ)にマッチ。

[:lower:]

英小文字1つ(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:print:]

スペースを含む英数字記号(1バイト文字のみ)にマッチ。

[:punct:]

英字記号(1バイト文字のみ)にマッチ。

[:space:]

スペースなどの空白文字(2バイトスペースを含む)にマッチ。

[:upper:]

英大文字1つ(2バイト文字、1バイト文字の両方)にマッチ。

[:xdigit:]

16進数として解釈できる文字(数字とaからfまでの大文字、小文字、1バイトのみ)にマッチ。

[:kana:]

1バイトカナにマッチ。

[:mbcl0:]

2バイト文字第0水準にマッチ。

[:mbcl1:]

2バイト文字第1水準にマッチ。

[:mbcl2:]

2バイト文字第2水準にマッチ。

\a

BEL文字(0x07)にマッチ。

\b

BS文字(0x08)にマッチ。

\e

ESC文字(0x1b)にマッチ。

\f

FF文字(0x0c)にマッチ。

\t

HT文字(0x09)にマッチ。

\v

VT文字(0x0b)にマッチ。

\d

[:digit:]と同じ。[]内では使えない。

\D

\d以外の文字にマッチ。[]内では使えない。

\w

[:alnum:]と同じ。[]内では使えない。

\W

\w以外の文字にマッチ。[]内では使えない。

\s

[:space:]と同じ。[]内では使えない。

\S

\s以外の文字にマッチ。[]内では使えない。

\x....

...xdigitなら、4桁までの16進コードで表現される文字。

\.

上記以外の文字が\に続く場合、\の後ろの文字にマッチ。

?

直前の文字0個または1個にマッチ

*

0個以上の直前の文字にマッチ

+

1個以上の直前の文字にマッチ

{min,max}

min個以上max個以下の直前の文字にマッチ

^

行頭にマッチ(パターンの先頭で指定されている場合のみ)

$

行末にマッチ(パターンの末尾で指定されている場合のみ)

 

 ()|は使えません。また、バイナリファイルでは正しく動作しません。動作はかなり遅くなることがあります。なお、「設定」ダイアログの大小文字無視ボタンかキーボードコマンドのIgnoreCaseCaseSensitiveにより、大文字と小文字を区別するかどうか(ただし、[]内の範囲指定、[:...:]の文字クラス指定を除く)を指定できます。また、「設定」ダイアログのIME自動オープンをチェックするか、キーボードコマンドのIMEOpenを使うと、検索ウィンドウが表示されたときに、自動的にIMEをオープンすることができます(こうすると、すぐに漢字やひらがなの検索パターンを入力できます)。

キーボードコマンド

 メニューコマンドやダイアログ内でのオプションの大半は、キーボードコマンドとして入力することができます。[:]キーを押すと、例によってウィンドウ下部に細長いダイアログが表示されます(左端は[:])。ここに以下のコマンドを入力します。コマンドは大文字と小文字を区別しません(下の表では、先頭を大文字にしていますが、表を見やすくするという以上の意味はありません)。

 

ファイルメニュー関係

 

New

ファイル」メニュー「画面クリア」コマンド。[Ctrl]+[N]キーと同じ。

Open

ファイル」メニュー「開く」コマンド。[Ctrl]+[O]キーと同じ。

Open=filename

filenameをオープンする。

Save

ファイル」メニュー「名前を付けて保存」コマンド。[Ctrl]+[S]キーと同じ。

Update

ファイル」メニュー「更新」コマンド。[Ctrl]+[R][Ctrl]+[L]キーと同じ。

Print

ファイル」メニュー「印刷」コマンド。[Ctrl]+[S]キーと同じ。

Preview

ファイル」メニュー「印刷プレビュー」コマンド。

PrintSetup

ファイル」メニュー「プリンタの設定」コマンド。

Quit

ファイル」メニュー「アプリケーションの終了」コマンド。[Q]キーと同じ。

Exit

ファイル」メニュー「アプリケーションの終了」コマンド。[Q]キーと同じ。

 

 

編集メニュー関係

 

Copy

編集」メニュー「コピー」コマンド。[Ctrl]+[C][Ctrl]+[Insert]キーと同じ。

Paste

編集」メニュー「貼り付け」コマンド。[Ctrl]+[V][Shift]+[Insert]キーと同じ。

SelectAll

編集」メニュー「すべて選択」コマンド。[Ctrl]+[A]キーと同じ。

Find

編集」メニュー「検索」コマンド。[Ctrl]+[F]キーと同じ。

Repeat

編集」メニュー「次を検索」コマンド。[F3]キーと同じ。

Edit

編集」メニュー「内容編集」コマンド。[v]キーと同じ。

AddLF

編集」メニュー「改行追加」コマンド。[M]キーと同じ。

 

 

表示メニュー関係

 

Toolbar

表示」メニュー「ツールバー」コマンド。

Statusbar

表示」メニュー「ステータスバー」コマンド。

TopMost

表示」メニュー「一番上へ」コマンド。[F2]キーと同じ

Font

表示」メニュー「フォント」コマンド。

Setup

表示」メニュー「設定」コマンド。

 

 

設定ダイアログ関係

 

DefaultPlace

位置・サイズ」「Windowsに任せる」オプション。

FixedPlace

位置・サイズ」「左の値を使う」オプション。

Pos=top,bottom,left,right

位置・サイズ」の上下左右の数字。カンマで区切り、この順番で指定します。サイズがなくなるような指定をしようとすると、自動的に下または右の値を調整します。また、画面内に少なくともウィンドウの一部が表示されるように上と左の値を調整します。「位置・サイズ」のラジオボタンがどれであっても、数字に合わせてウィンドウサイズを変更します。そして、「左の値を使う」が選択されている場合には、この値が次回起動時に使われます。

Top=[+|-]num

位置・サイズ」のの数字。+または-記号を付けた場合には、現在の数字にnumを加算または減算します。そうでなければ、数字を直接変更します。Pos=で指定した時と同様の調整します。

Bottom=[+|-]num

位置・サイズ」のの数字。+または-記号を付けた場合には、現在の数字にnumを加算または減算します。そうでなければ、数字を直接変更します。Pos=で指定した時と同様の調整します。

Left=[+|-]num

位置・サイズ」のの数字。+または-記号を付けた場合には、現在の数字にnumを加算または減算します。そうでなければ、数字を直接変更します。Pos=で指定した時と同様の調整します。

Right=[+|-]num

位置・サイズ」のの数字。+または-記号を付けた場合には、現在の数字にnumを加算または減算します。そうでなければ、数字を直接変更します。Pos=で指定した時と同様の調整します。

SavedPlace

位置・サイズ」「前回終了時の位置」オプション。

 

 

Typeface= facename

フォント」タイプフェースをfacenameに変更します。有効な名前かどうかのチェックはしません。

Bold

フォント」太字になっていなければ太字にします。太字になっていれば太字でなくします。

Italic

フォント」斜字になっていなければ斜字にします。斜字になっていれば斜字でなくします。

Point=num

フォント」ポイント数をnumにします。

 

 

Top

表示開始位置」「先頭」オプション。先頭へのジャンプはGoTop

End

表示開始位置」「末尾」オプション。末尾へのジャンプはGoEnd

Middle

表示開始位置」「新ファイルの先頭」オプション。

 

 

Add

表示内容」「追加」オプション。

Replace

表示内容」「置換」オプション。

 

 

QueryQuit

終了確認をする」オプションをオン/オフします。

 

 

IgnoreCase

検索」「大小文字無視」オプション。

CaseSensitive

検索」「大小文字無視」オプションをオフにします。

IMEOpen

検索」「IME自動オープン」オプションをオン/オフします。

 

 

Wrap

折り返し」「ウィンドウの端で折り返す」オプション。

NoWrap

折り返し」「折り返さない」オプション。

 

 

ClipIn

子プロセス起動」「クリップボードの内容を標準入力として扱う」オプションをオン/オフします。

ClipOut

子プロセス起動」「標準出力をクリップボードにセットする」オプションをオン/オフします。

CommandLine

子プロセス起動」「出力の先頭にプロンプトとコマンド行を付加」オプションをオン/オフします。

Debug

子プロセス起動」「出力の末尾にコマンド行などを付加」オプションをオン/オフします。

NoEditor

子プロセス起動」「エディタに標準出力を送らない」オプションをオン/オフします。

Editor=num

子プロセス出力エディタ」リストボックスのnum行目のエディタで内容を編集します。

Viewer=num

子プロセス出力エディタ」リストボックスのnum行目のエディタに標準出力を送ります。

EditorList

エディタリスト」ボタンと同じ。エディタリスト編集中は、は操作できなくなります。

 

 

ヘルプメニュー関係

 

Help

ヘルプ」メニュー「ヘルプ」コマンド。[F1]キーと同じ。

About

ヘルプ」メニュー「sbのバージョン情報」コマンド。

 

 

コントロールメニュー関係

 

Maximize

ウィンドウの最大化。

Normal

通常表示。

Minimize

ウィンドウの最小化。

 

 

スクロール関係

 

num

先頭からnum行目に移動。

-num

末尾からnum行目に移動。

numLinesUp

num行上にスクロール。num1の時に限り、1LineUp(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

numLinesDown

num行下にスクロール。num1の時に限り、1LineDown(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

numHalvesUp

num半画面上にスクロール。num1の時に限り、1HalfUp(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

numHalvesDown

num半画面下にスクロール。num1の時に限り、1HalfDown(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

numScreensUp

num画面上にスクロール。num1の時に限り、1ScreenUp(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

numScreensDown

num画面下にスクロール。num1の時に限り、1ScreenDown(単数形)でも受け付けます。WithHorzResetを追加すると、スクロールして行頭に移動コマンドになります。

UnitsToLeft

num単位左にスクロール。num1の時に限り、1UnitLeft(単数形)でも受け付けます。

UnitsToRight

num単位右にスクロール。num1の時に限り、1UnitRight(単数形)でも受け付けます。

PagesToLeft

numページ左にスクロール。num1の時に限り、1PageLeft(単数形)でも受け付けます。

PagesToRight

numページ右にスクロール。num1の時に限り、1PageRight単数形でも受け付けます。

Again

最後のスクロールコマンドの繰り返し。

Reverse

最後のスクロールコマンドの逆。

GoTop

先頭にジャンプ。次にファイルをオープンした時の表示位置を先頭にするのはTop

GoEnd

末尾にジャンプ。次にファイルをオープンした時の表示位置を末尾にするのはEnd

 

 

正規表現検索関係

 

Search

[/]キーと同じ。

SearchForward

[/]キーと同じ。

SearchBackward

[?]キーと同じ。

Next

[n]キーと同じ。

Prev

[N]キーと同じ。

IgnoreCase

設定」ダイアログの「検索」「大小文字無視」オプションをオンにします。

CaseSensitive

設定」ダイアログの「検索」「大小文字無視」オプションをオフにします。

IMEOpen

設定」ダイアログの「検索」「IME自動オープン」オプションをオン/オフします

 

 

その他

 

Spawn

[/]キーと同じ。

 

問題点

 1つのコマンド行で複数のファイルが表示されるという条件に対しては、あまりきちんと対応していません。たとえば、がまだ開いていない状態でこのようなコマンド行を実行すると、同じ設定名のが複数起動されてしまうことがあります。たとえば、Windows NT/2000/XPマシンで、cmdline)で&を使って複数のファイルにリダイレクト出力するようなコマンド行を実行すると、うまく動きません(しかし、出力をリダイレクトしなければ、&を使っても正しく動作するようです)。&を使った複数ファイルへのリダイレクトについては、のウィンドウがすでにオープンされている状態でもうまく表示されません(ファイル自体は正しく作成されています)。(tee)を使っているpipeline)の出力にも、同様の問題があります。

MS 明朝MS ゴシック(及びこれらのP版)以外のタイプフェース(たとえばMS UI Gothic)が選択されている状態で新しいテキストを読み込んだ場合、正規表現検索の結果がずれることがあります。このような場合、タイプフェースをMS 明朝MS ゴシックに変更すると、正しく表示できるようになるようです。MS 明朝等に変更した後でMS UI Gothic に戻しても、新しいファイルを読み込んだり、「更新」をかけたりするまでは正しく動作します。リッチエディットコントロールには、不可解な性質があるようです。また、ファイルサイズが1MB程度を越えると(あるいはもっと手前で)、読み込みや正規表現検索に時間がかかるようになってきます。

 「ファイル」「更新」コマンドは、更新後のファイルが正しく表示されないことがあります。そのうち直すつもりです。