還暦の年を終えるにあたって
四十から六十まではあっという間だったな。
十年続いたやり方じゃ飯が食えなくなって、
数年じたばたしたあげく、
もとのやり方に戻ったけど、
同じ仕事じゃ以前の半分しか飯が食えないので、
休みなしで働くことにして、
飯をあまり食べないようにして、
なんとか辻褄を合わせたわけさ。
それが最初の十年。
あとの十年は、
最初の十年の終わりがそのままずるずる続いた。
四十のときにやろうと思ってたことが
まだ全然できてない。
八十まで生き残るかどうか、
そんなこたあわかんないけど、
仮に生き残ったとしても、
このまんまじゃやろうと思ってたこと、
四十年やらずじまいで終わっちゃうな。
そう思いながら、
もう一年が暮れようとしている、
ってわけさ。